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南モンゴルを支援する議員連盟総会報告

カテゴリー:政治
2026/06/08
 6月4日午後4時から、衆議院第二議員会館第7会議室にて、南モンゴルを支援する議員連盟総会が開催されました。司会は衆議院議員上野宏史先生。議員及び議員秘書のほか、外務省アジア大洋州局中国モンゴル第一課の方も出席されました。

 冒頭で山田宏先生が開会挨拶を行い、特に中国政府が進めている民族団結促進法への危惧を表明されたのち、新たな役員人事が発表、承認されました。会長には山谷えり子先生、副会長城内実先生、幹事長山田宏先生、幹事長代行石橋林太郎先生、事務局長に上野宏史先生が就任されました。

 続いて、静岡大学の楊海英先生から「南モンゴルと日本 議連成立の世界史的意義」と題された講演が行われました。

 楊先生はまず、今日6月4日は天安門事件の日であること、自分はこの年に日本を訪れたのだが、それまでは北京で教えていたため、自分の教え子や友人たちの多くがこの日犠牲になったことから講演を始めました。そして、その後国際的に孤立した中国を、最も早い時期から支援し、天皇陛下訪中も実現したのは日本であったこと、それ自体は善意からのものだったかもしれないが、残念ながらその後中国の人権状況は全く改善されず、日本の善意は報われたことはないと述べました。

 そして、近日天安門について自分がSNSにポストしただけで、実は静岡大学に大量の抗議電話がかかってきていて、大学の業務ができない状態になっている。数年前にも私に対する個人攻撃が行われ、大学も打撃を受けたのだが、日本人はどちらかと言えばこのような問題を公にせず内部で収めようとする。それはもはや中国には通用しないと述べ、中国の圧力や干渉をはねのけるためにも、高市内閣が現在進めている情報局構想や、将来のスパイ防止法制定は必要だと述べました。

 その上で、この南モンゴル議連が2021年4月21日に結成されたのは世界史的意義があると述べ、その場で高市早苗現首相が当時会長として「南モンゴル人権弾圧問題は中国への内政干渉ではなく、国際問題だ」と喝破したことを高く評価しました。これは人権外交の精神であるとともに、日本が戦後レジームから脱却することを意味していると楊先生は強調しました。

 戦後日本は、過去の近現代史を何度も繰り返し謝罪してきたが、日本国が最初からアジアを侵略し諸民族を虐殺した悪魔のような国だったなどという歴史観にはもともと根拠はなく、それは私たち南モンゴル人の歴史や、満洲においてモンゴル人がどのような扱いを受けてきたかを観ればすぐわかることであり、かつ、そのモンゴルはヤルタ協定によって、当時のモンゴル人も日本人も一人の代表もいないところで「戦後処理」として分断されてしまった(北のモンゴル人民共和国はソ連の影響下に置かれ、南モンゴルは中国に併合された:三浦注)。このヤルタ協定は、当事者のいない秘密協定であったというだけで国際法的に無効であり、そのことは、今の時代にはアメリカでも気づきつつある人は出てきていると楊先生は指摘しました。

 そして、今年は文化大革命60周年の年であり、自分は一人の歴史研究者として、中国の本質は今後も決して変わらないだろうと確信している、中国という国は、こちらが強く出続ければいつか協調してくるが、こちらが弱い、妥協的と思えばいくらでも圧をかけてくる。その意味で、現在の高市内閣の対中外交は原則的に正しいと楊先生は述べました。

 さらに、現在高市内閣が進めている情報局設置の意義について、ぜひ、情報局と連携する各地域の研究センターを作ってほしいと楊先生は述べました。これは実は小渕内閣時代に企画されたものだが、小渕首相の急死によりそのままになってしまった。例えばフランスは、中央アジアに大きな研究センターを持っている。日本も、北京、モンゴル、南米、中東など各地にそのようなセンターを建設し現地の情報収集や分析、歴史研究などを行っていれば、例えば今回の中東での戦争時にも大きく外交のために役立つはずだと楊先生は述べました。

 最後に、モンゴル人は実はカザフスタンなど中央アジア、ロシヤのブリヤートモンゴルなど、広くアジアに住んでおり、例えばカスピ海からのルートや中央アジアルートを考えるとき、モンゴル人の存在は日本にとっても重要なものとなる。ユーラシア全体の外交戦略としてモンゴルの問題を考えてほしい。私たちモンゴル人たちも自分達民族の悲劇だけではなく、日本のために役立てることをこれからも提案していきたいと楊先生は講演を結びました。

 続いてクリルタイ会長のジョプチョード・テムチルト氏が、南モンゴルを支援する議員連盟に感謝状を授与、続いてクリルタイ幹事長のオルホノド・ダイチン氏が、現在モンゴル国で投獄中のジャーナリスト、ムンヘバヤル氏の近況を報告しました。ムンヘバヤル氏は獄中でも信念を曲げることなく著述を続けており、自由を奪われても志を奪うことはできないことを身をもって体現しているとのことでした。

 またダイチン氏は、5月11日、「南モンゴルを応援する日」に、名古屋で中国大使館前でのアピールを行ったウリジデリベル氏が、その次の日に4人の中国警官が彼の故郷の兄を拘束、約6万元を家族が支払ってやっと釈放されたと述べました。ウリジデリベル氏は日本にすでに帰化しており、これも国境を超えた弾圧の典型であるとダイチン氏は中国政府の行為を批判しました。

 また、この5月22日から31日まで台湾を訪れ、台湾の大学、研究所、シンクタンク、台湾NEDなどを訪問したが、いずれでも予想以上に温かい歓迎と有意義な会話ができた、これを大きな成果としてつなげていきたいと述べました。

 最後に世界モンゴル人連盟のハスチョロ氏が、今、中国におけるモンゴル人の子供たちは、学校で全く母語であるモンゴル語を学ばないため、正直、ここ日本で生まれたモンゴル人よりも、モンゴル語が下手になっていると述べました。これは民族のアイデンティティの継承には学校でのモンゴル語教育が不可欠であり、それが奪われてゆく恐ろしさを感じる。そして、今回制定された民族団結促進法は、これまで行ってきた中国政府の様々な弾圧やジェノサイドを法的に正当化するものであり、日本政府が抗議の声を上げ、アジアのリーダーシップをとってほしいと訴えました。これを受け、山田宏先生から、何らかのメッセージを出す必要性が確認されました。また、クリルタイ並びに世界モンゴル人連盟が共同で発表した日本政府への要望書が、総会に参加した外務省職員に直接渡され、モンゴル議連総会は閉会いたしました(文責 三浦小太郎)

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